しぐのるです。
昨日のWSJ記事の二つ目の詳細とその記事への反論感想文です。
米中貿易戦争の休戦、より危険な世界の幕開け
この記事ですね。
内容の序盤は、
「アメリカの対中赤字は減少したが、対その他の貿易赤字は拡大し続けているのでトランプ大統領の想定していた目標は多くが道半ばだ」
という内容で始まります。
たしかにこの貿易赤字のグラフを見るとそうなります。

「アメリカの貿易赤字を減らす」というのが本当の狙いだったのであれば、WSJの主張は的を射ているといえますが、果たしてトランプ大統領の狙いはそこだったんでしょうか。
昨日の記事でも書きましたが、アメリカは常に「No.1」であり続けようとします。
No.1であることが彼らのアイデンティティであり、国是といっても過言ではないでしょう。
2位じゃだめなんです。1位になろうとし続けるからあの地位がある。
満足はしません。フロンティアスピリッツの名の下に今日も彼らの脳内イメージの前には未開拓の荒野が広がっていることでしょう。(偏見がひどい
さて、そんな国に追いすがる国が中国です。
アメリカのGDP成長率は2~3%のところ、中国はその2倍以上の成長率で追いすがろうとしています。
それをただ傍観しているならまだしも、巨額の貿易赤字で手助けをしていたのが今までの構図です。自国の製造業は割高だからと安価な中国産を輸入する。
一見効率はいいですが、失業率は増え、技術は先細り、自国の産業は衰退します。
そのなれの果てがイギリスであり、日本です。
昔はものづくりで世界を席巻した島国はいまやどちらも投資家から見向きもされず、
割安な株式銘柄がゴロゴロしているのにも拘らず今日も元気に低PERで放置されています。
その理由はやはり上記の「衰退」が原因だと思います。結局国が枯れてるんですね。
余所の国から「この国の企業に投資しても未来ないな」と思われてしまっています。
もちろんSONYとかの一部のやる気ある企業を除いてですが。
昨日の記事ではこの「やる気のある」ということを「No.1になろうとする」とか「消費意欲がある」という事と定義しましたが、ここでいう「やる気のある」は「新しいモノを生み出そうとする事」です。
安定を志向し、不採算の事業に立て籠もるのではなく、選択と集中で積極的に新しい分野のシェアを取りに行く。その為に古く価値の低いレガシーは問答無用で切り捨てる。
そういう企業の株は買われていると思います。SONYが時価総額10兆円規模に返り咲いたのはそういう事だと思います。
今のSONYはもはや家電屋ではありません、CMOSイメージセンサー等の半導体が屋台骨、そこを音楽やゲーム、映画といった事業が支えています。
もちろん電機も続けてはいますが、もはやメインではありません。
今の株価の上昇はCOMSイメージセンサーの期待で上昇しているのは間違いありませんが、
その背景には
「あの巨大な企業がここまで大胆に変化できる、この企業はこれからも時代の変化に合わせて事業を切り替えながらNo.1を目指す能力がある」
と投資家が判断できた事が大きいと感じています。
閑話休題、中国の事書いてたのになぜSONYの話に?
とまぁそんなわけで、アメリカの1位を脅かす中国から貿易赤字を垂れ流して輸入し続ける事を座視するアメリカではありません。
そこに大胆なパラダイムシフトを仕掛けたのがトランプ大統領の「貿易赤字の是正政策」だったと考えるのが普通です。
つまりWSJのいう「貿易赤字はトータルで減ってないから目標未達!」っていう論調はミスリード
ってことになると私は思うわけですよ。
っていうかWSJもわかってて書いてるんでしょうけど。
つまりは生存競争です。
自分の力を凌駕しそうな弟子の成長を喜ぶ師匠の立場ならともかく、
自由資本主義陣営の筆頭が国家資本主義の不自由な国を利する行為は許されないって国家原理。
オバマはそれを知っていながら放置していました。彼の対中政策はあまりに無策だったのは明らかです。協調的といえば聞こえはいいですが、利敵行為であり、害悪でした。
そうした中国の台頭を良しと思わないアメリカ人はトランプを選びました。
今年、また大統領選挙がありますが、中国への締め付けはまだまだ満足できるレベルに至っているとは思えません。
そんな状態で中国がアメリカに付け入る隙をこれ以上作るかどうかについては、また明日書きたいと思います。
ひゃなばい