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トルコ、空売りを仕掛けたヘッジファンド相手にエルドアン砲発射

しぐのるです。

中東?ヨーロッパ?でお馴染みのトルコで、ヘッジファンドとの通貨戦争が起きています。

ことの発端、といっても一体どこからを発端とするかで議論が分かれるところではありますが、
トルコの通貨リラ(TRY)の個人投資家の買いポジション(=ロング)が溜まってきた事を材料に、ロンドンを中心としたヘッジファンドがトルコリラの空売りを仕掛けたのが先週末の話で、これを発端とします。

丁度その日はドイツとアメリカの製造業PMIが予想より悪く、他の通貨でも一気にリスクオフムードであったことから弊ブログでも取り上げておりました。
https://signol-toushi.com/archives/%E3%83%89%E3%83%AB%E5%86%86110%E5%86%86%E5%89%B2%E3%82%8C%E3%80%81%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%AB%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E5%9B%9E%E9%81%BF%E5%A7%BF%E5%8B%A2%E3%81%AE%E5%86%86%E9%AB%98%E3%81%8B.html

この時トルコリラは一気に6%近く円高に振れ、一時は1リラ=19円を割り込みました。
しかし、トルコは3/31に重要な議会選挙を控えており、現職のエルドアン大統領は
これ以上のリラ安は選挙結果に悪影響と見て、為替介入を実施します。

その方法は「トルコリラの中銀からの供給を極端に減らす事で、通貨の流動性を極限まで少なくさせ、スワップ金利を上昇させる」という異色の方法での介入でした。

この辺、FXをかじっている人は「トルコはショート(空売り)殺しに必死だなぁ」と思いますが、FXの事を知らない人向けに頑張って解説してみます。

もともと、新興国通貨は金利が高いです。
そりゃそうですよね、いつ不況になってもおかしくない、吹けば飛ぶような新興国通貨に外貨資金を呼び込むには、相応の「高金利」が無ければ誰も買ってくれません。

トルコリラもそれに漏れず、政策金利が20%を超える高金利通貨の筆頭です。
つまり、トルコリラを持っていれば年間20%超も金利が付くわけですね。
ずいぶんと景気のいい話です。

当然、金利以上に通貨価値が下落していくのが新興国通貨の常なので、言うほど簡単に儲けられません。

徐々に通貨が値下がりしていく分にはまだいいんですが、下がる時は一瞬で下げてしまうので、去年の8月の大暴落時の様に、ロスカット強制決済されてしまう個人投資家が後を絶ちません。

にも関わらず、日本の個人投資家始めこの高金利通貨をレバレッジをかけて買い(=ロング)、金利を得るスワップ投資が何故か結構人気です。

最近も米国の金利引き下げ観測を受けて、徐々に新興国通貨にこういった資金が向かっていっていました。

しかし、そういう安易なマネーを掠め取る為に血道をあげるのがヘッジファンドです。

空売りを仕掛ける事で通貨安を誘発、ロスカットや狼狽売りを発生させて利益を得るわけですね。

ですが、トルコは今現在インフレが進んでおり、これ以上の通貨安は物価の上昇をさらに招いてしまい、国民生活に打撃となってしまう=支持率が低下してしまうので、エルドアン大統領としても選挙前の通貨暴落は避けたかったようで、
マーケットにケンカを売るような為替介入を実施しています。

一時、オーバーナイトスワップは200%を超え、空売りを排除しています。
(ショートポジションを持っていると、この200%の金利を支払う側になります。ロングポジションを持っていると200%分の金利がもらえます。)

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状況は90年代の「ポンド危機」に酷似、負けるのはトルコ?

こういった中央銀行VSヘッジファンドのバトルで、有名なのが1990年のポンド危機です。
通貨価値の固定をしたいイングランド銀行に対し、ジョージ・ソロス率いるクォンタムファンドは100憶ドル規模の空売りをしかけて、イングランド銀行の資金を枯渇させ、
最終的にジョージソロスは10~20憶ドルの利益を得ました。

当時のイングランド銀行がトルコの中銀よりも力を持っていたことは言うまでもなく、
トルコがイングランド銀行の二の舞になることは必至です。

まさに今現在、流動性が枯渇したリラを調達する為、ファンドはトルコの株を売ってリラを調達しています。

そのせいで、トルコの株価はガラガラと音を立てて下落しています。

哀れなエルドアン大統領、支持率を失わない為に通貨を防衛したところ、株価がダダ下がりでは意味がありませんね。

さて、話は少し変わりますが、日本の中央銀行、日銀にもヘッジファンドが通貨戦争を挑んできた事があります。

ポンド危機以降、調子にのったヘッジファンドが2003年、ついに日本の通貨円に対し介入を始めました。当時は世界同時多発テロ等の影響で、リスクオフムードだった為、円高が予想されていた為、ヘッジファンドが先回りで円買い介入を始めたのがきっかけでした。

今のトルコリラと違い、空売りするんじゃなくて円をロングしまくって円を高騰させるわけですね。

当時も今の、日本は円高になると輸出企業に大ダメージが入ります。
当時は半導体もまだまだ絶好調で家電、液晶、自動車等、Made in JAPANの時代です。

当時の自民党政権は円を買うヘッジファンドを良しとせず、自国の企業を守る為、日銀を通じてドルを買って円を売る為替介入を実施しました。これが通称「日銀砲」です。
中央銀行は通貨を刷ることが出来る為、実質無限に円を市場に供給することができます。

1日に1兆円規模の円売り介入は、円買いをしていたヘッジファンドを2000社以上倒産に追い込み、この通貨戦争は日銀の勝利で終わりました。

さすが我らが日本…と言いたいところですが、この話はアメリカの黙認がなければ成立しておらず、当時この交渉をまとめた自民党政権はやはり、有能だったと考えられます。

さて、当時の日本はこんなに円を刷りまくってもデフレのままでしたので、この介入は特に日本側にダメージが無かったと言えますが、トルコは今現在インフレです。
しかも結構ヤバ目のインフレで、食料品がインフレで高くなりすぎて、政府が強制的に食料品の価格を安くさせることで、国民の食を賄っている状態です。

そんなトルコが、これ以上自国通貨を刷るワケにもいかず、そもそも刷って市場に通貨を供給すると、ヘッジファンドに空売りされてしまうといった悪循環の為、
トルコ経済は「詰んでいる」と考えられます。

さらに、ダメ押しと言わんばかりにトランプ大統領とエルドアン大統領は、
今現在も様々な問題で対立しています。
直近だとロシアのS400購入問題、シリアのゴラン高原問題ですね。

ロシア疑惑の晴れたトランプ大統領がトルコに対して関税での追加攻勢に出ないとも限りませんので、この観点からもトルコ経済は危ういです。

ヘッジファンドでなくともショートポジ持ちたくなる状況に見えていますが、
そんな火薬庫で花火をするようなマネをしなくとも、
米国の優良企業の高配当株に長期投資をすることでも、しっかりと利益を得られます。

FXはゼロサムゲーム、誰かが必ず負けるゲームです。
トルコが勝つと思う人はロング、ヘッジファンドが勝つと思う人はショートに回り、
負けた方が損をします。

株式への長期投資は企業が成長する限り、プラスサムです。
数年前、同じく南アフリカランドのFXで痛い目にあった私だからオススメできるのが、
株式投資です。

ひゃなばい